何者
わたしはきっと、ずっと拓人だった。
きっといまも、拓人だ。
この本だって、読んでもいないのに否定して、話題の本しか読めないひとたちを否定して。周りの「カッコ悪い」ひとたちのすることを、カッコ悪いと言いながら、それすらできないわたしは拓人だ。
そうしてひとを否定することしかできない。じぶんのカッコ悪さを認めるのがこわいから?じぶんを守っていたいから?これは、就職活動の域だけの話じゃないんだ。
終盤まで、拓人にものすごく共感してしまった。朝井リョウは、絶対にそれを見越して書いているはずなのだ。どんなにカッコつけたって、大抵の人間はみんな拓人なんだとおもう。いや、ちがうな、これも、わたしのカッコつけた文章だな。悔しいと、おもった。
わたしはなにも持ってない。カッコ悪い。もう遅いかもしれない、遅くないかもしれない。
出版業界に行きたいのかも、よくわからない。